宮城・黒川・大和町吉田 の 手打ち蕎麦処・おさだ [ 仙台市近郊 ]
竹盛そば ( 大盛 )( 税込 900円 + 300円 )
香り | ☆☆☆ |
太さ | ★☆☆ |
出汁 | 色は濃い目だが塩辛くはない |
辛汁の量 | 基本少ないが追加で徳利も出る |
蕎麦湯 | 蕎麦粉が浮くほどの茹で湯 |
薬味・小鉢など | 漬物、ネギ、ワサビ |
粉の産地 | 不明( 黒川郡大和町産の地粉?) |
製粉 | 製粉所(JAあさひな)? |
割合 | 二八 |
製麺 | 手打ち |
蕎麦の作付面積で県内一位の自治体に立地
蕎麦の 作付面積 で 宮城県内 1位 を誇る 黒川郡大和町。ならば町内には 地粉 を使う 地産地消 の 蕎麦屋 もあるだろうと踏んで探索した 1軒が同店だ。 店の北東角に設けられた 打ち場 で主人が蕎麦を打ち続けている。麺は色白細身の美人麺、角が立ち コシ があって食感がいい。香りは然程しないが、手繰った長さが全て均一になるような " 仕事 " を感じる蕎麦だ。 猪口に少な目に注がれた 辛汁 は、蕎麦を邪魔しないよう香りを抑えつつ旨みを生かした濃い目。塩辛さはないのでどっぷり潜らせても大丈夫だ。大盛 を食べ終える前に 辛汁 は空になるが、ワサビの追加を依頼し、控えていた徳利から継ぎ足して、最後の蕎麦湯を楽しんだ*1 。
ぶっかけスタイルでいただく『 おろしそば ( 1,300円 )』 のつゆは、辛汁と違って鰹節の香りが強目で醤油感はかなり薄く甘みのある感じ。今春最後の ふきのとうに、茄子の天ぷら・ゴボウとニンジンのかき揚げ・ワカメ・削り節、汁切りしたたっぷりの 紫大根おろし が添えられ彩りも美しい。天ぷらは 蕎麦衣 だとかで、サクサクに仕上がっている。
左の中央が、紫大根おろし。おろしそば、鮮やか。
醤油 は『 有機栽培・古式製法・杉樽仕込み 』、みりん は 『 醸造用 糖類不使用・国産もち米 のみ使用』 、砂糖 は 『 沖縄波照間産 の 黒糖 を使用 』しているそうだ。 天ぷらの揚げ油も 『 北海道滝川市・青森県横浜町産 の キザノナタネ 100%、圧搾一番絞り の 希少な 油 』らしい。道理で油っこくなくサラッといただける訳だ。
本業が農家なのかな、週の半分はお休み。 蕎麦畑 も持っているとどこかのブログにあったが、店の前も水田だし、あの近所をさらっと回っても年間通して供給できる位の蕎麦畑は見当たらない、どうなのだろう。 前述のとおり同町は 県内一の蕎麦の作付面積 を誇る、ゆえにその 地元産の蕎麦粉 を使っているということなのだろうと思うが。 『 おさだそば ( 1,200円 )』 に付く 餅 や、お通し に出る 漬物 の材料は言わずもがな 自前 であろう。
茶 | 緑茶のみ、「 何度でもお代わりどうぞ 」 と言われる |
他メニュー一例 | 天ぷらそば ( 野菜の天ぷら 5品付 )1,450円、 むじなそば ( 野菜天ぷら 1品・油揚げ・大根おろし付 )1,200円、 大盛 ( 1.5倍 )300円、特盛 ( 2倍 )600円、 宮城県産大豆 100% の豆腐 300円 |
価格帯 | 300〜1,500円 |
"借景" が 七ツ森という素晴らしさ
仙台から来ると、いや東西南北どこから来ても非常に分かりづらい場所に立地。 ざっくり言うと、船形山登山口 の麓 の 農村集落 にある。 国道 4号線を下り、宮城県警・大和警察署の角を左折、直進して左手の「 農家の店おてんとさん大和店 」を越したらすぐ右折、坂を登って「 ローソン大和吉岡店 」角を左折、県道 147号線( 吉岡升沢線 )をそのまま、田を眺めながら道なりに走り、そしてもうこんなところに本当に店があるのかと懐疑心が出て来た頃、右手に大き目の看板が現れる。来店客のほとんどはこの懐疑心のために必ず店の手前で減速しているので、おもしろいなと思った。
早春の七ツ森。 ふきのとう・つくし・みず・シドケ・こごみ・うるい・コシアブラ・ウド など、たくさんの春の味が芽吹く。
立地 | 農村集落 |
店内外 | 廃材建築の小屋、民芸調 |
卓上 | 割箸、楊枝 |
座席数 | 約25席 |
サービス | あくまで田舎風を貫く、 近所のベテラン女性が親しみ込めて丁寧に接してくれる感じ |
BGM | TV有り |
店の 南窓の借景は、七ツ森。 アサイナ ( 朝比奈三郎 )と いう大男が、氾濫を繰り返し住民を苦しめる歴史を断とうと 品井沼 を掘り、その土を 7回ここに運んだことから、七つの山が出来たという 伝説 が残っている。( 土を運ぶ度にアサイナの体は大きくなり最後に彼は破裂消滅して周囲の里山と同化したとの絵本の物語。)
一番右手のこんもりとした小さな山は、アサイナ が背負っていた籠の「 たがら 」が、コロコロと落ちてひっくり返って出来た「 たがら森( 「 たんがら山 」 ) 」 だ。 また鳴瀬川の支流・吉田川 は、アサイナ の歩いた跡に出来たと語り継がれている。*2
しかし実は調べてみると 七つ森らの辺り は、後ろに聳える 泉ケ岳 や 船形山 など県境を成す 活火山 たちよりも、かなり古い時代に出来た山らしい。 それを知って改めて見てみると視界が変わるなあ。
朝比奈三郎という英雄( 鎌倉時代 )
朝比奈三郎 は、鎌倉時代の歴史書 「 吾妻鏡 」や 他の軍記物 にも記述のある実在した人物・武将。 木曽義仲 の妾で、超有名な女性の武将・ 巴御前 の孫にあたるという説もあるらしい。その彼がなぜ 七ツ森伝説 の中心人物となったのか。
朝比奈三郎 の父 : 和田義盛 は 奥州合戦の論功か、一時、源頼朝 から名取市辺りを拝領している。 しかし間も無く何らかの挑発に乗ってしまい結果、幕府に反旗を翻した 和田合戦(1213年)で敗戦。 そして参戦した息子の 朝比奈三郎 は 故郷であった 安房 へと脱出ののち消息不明となっている。高麗へと逃れたとする公式文書もあるらしいが、隠遁させるための大袈裟な目眩ましにしか見えない( 墓所は栃木と群馬に )。
同じく 和田合戦 で落ち延びた和田氏一族の中には、越後黒川氏 となった系統がある。 七つ森 付近一帯の 領主・陸奥黒川氏 とは、" 黒川つながり " ではあるものの、前者は 桓武平氏系、 後者は 清和源氏系 で出自は異なっておりほぼ無関係。 南房総の豪壮な武将がどのような因縁で仙台平野北部における 治水・豊穣 の神 と 口伝 されるようになったか。 折ある毎に追いかけてみたい。
さらに、キムタク・北野武・石坂浩二が、ロケで来た!
2011年10月15日から On Air された TOYOTA の CM 「 ReBORN 」東北へ旅する " 大衡編 " の撮影で、織田信長 役 : SMAP の 木村拓哉、豊臣秀吉 役 : 北野武、狩野永徳 役 : 石坂浩二ら がやむなく立ち寄ったことでも密かに地元民に知られているという同店だが、今度は、映画「 殿、利息でござる。 」 の PR番組・TBS TV 「 ぴったんこカンカン 」の撮影で、映画主演 : 阿部サダヲ と 案内役の 安住紳一郎アナ が 同店を訪れた。 番組内で食べたのも、本稿の 竹盛そば と おろしそば 。 そして予想通り、放送翌々日の日曜日は、広い駐車場に入れない程の車が、仙台だけでなく山形・岩手からも来訪し、待ち時間もかなりのものになったと聞いた。 そして、並ぶのを諦めた客は道中の「 権現茶屋 」へたくさん流れたらしい、本来なら逆なのだろうが。 まあ、山菜の季節、堪能される方々が満足されたならば良かったろうと思う。
創業 | 2005年 12月 |
住所 | 宮城県黒川郡大和町吉田反町西84-6 |
Site | 〈 おさだ_食べログ 〉 |
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