蕎麦之記

辛汁で、を基本に。

裁ちそば | 池森秀一監修 × 奈良屋( 奥会津 )コラボレーション

池森そば乾麺・奥会津 二八の裁ちそば     

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二八の裁ちそば( 極太・乱切 ) ( 税抜 278円 )





香り ★☆☆
太さ ★☆☆



粉の産地 不明、会津田島
製粉 奈良屋( 福島県南会津郡南会津町
割合 二八





裁ちそば と言うだけあって、乱切り状態の美しい蕎麦。平打ちっぽいもの、極細っぽいものが混在していて食感も楽しい。乾麺だし実際の製麺は機械なので、1.9mm・2.4mm・3.5mm の 3種類の麺が入ってるとのことだ。麺の味わいはきっかり二八が貫かれている印象、一番細い麺はのどごし良く、一番太い麺は噛み応えがあり蕎麦の味も濃い目に映る。









所々ホシが浮き上がってきそうなグレーの麺は、 自家製粉の挽き立て 粗挽き蕎麦粉 を使用。じっくりと3段階に分けて乾燥させたという。乾燥のことまで言及してる蕎麦、初めてだな。





裁ちそば とは、福島県新潟県南魚沼市 )・群馬県片品村 )との県境に位置する村・桧枝岐村 の郷土料理、山人料理( やもうどりょうり ) の中のメインの一品だ。蕎麦生地は、伸ばしたまま何枚か重ね、畳まず手を定規のように使って奥から手前に、布を裁断するように引きながら切ることからそう呼ばれた。どうも、地域の貧しさと流通の悪さからつなぎを入手できないので、十割でそばを練り、蕎麦生地を畳んだら割れてしまうので、そうした方法に至ったらしい。









山人料理は、昔、山で働く男衆が、蕎麦粉・酒・味噌・塩を持って山に入り、山菜やらになにやら山の恵みをいただいていたことに由来する。山中で蕎麦は打てなかったろうから、そばがき にしたのだろうか。その地域色が転じて桧枝岐村の、客人へのもてなし料理となった。岩魚・山菜・きのこ・田楽など山川の恵みを中心にコース料理のように振舞われる。









メインの蕎麦打ちは女性の仕事だったそうで、「 そばが上手に打てないと嫁に行けない( 出せない ) 」とも言われていたとか。あちらからこちらへ蕎麦生地の上で包丁を滑らせるのは、女性が作業しやすい方法でもあっただろう。









裁ちそば は、提供している店舗へ訪問しようと思っていた矢先に閉店してしまい、随分と憧れていた。桧枝岐でいただいた山人料理はたいそう旨かった。製麺所は南会津田島というから、地元で打たれているものに違わない仕上がりとなっているだろう。今回も失敗のない茹でやすいものと断定してまずは一気に 2人前・2/3袋を茹でた。





そういえば、1袋を持った感じが前回・前々回とちょっと違っていた。なんと、今回のものは1袋で2人前だそうだ。前回・前々回は3人前じゃなかったか。しかし2人前にしては若干多め、大盛二人前というところかな。つまり1回目は1.5人前をいただいたイメージになる。









旨い蕎麦は幾らでも食べられる。*1 いつものように残りも追加で茹でて、1袋をあっさり平らげた。さあ、次の儀式、蕎麦湯 をいただこう。









あれ、おかしい、塩辛い。 辛汁 はいつもと同じで普通だし、蕎麦も辛汁に浸けて食べたはず。なのに驚くほど塩辛い。製麺に使った塩分が蕎麦湯に溶け込んだのだろうが、随分と尖った辛さである。試しに蕎麦湯だけも味わってみたが、純粋なだけに強烈、思わず眉間に皺が寄った。残念ながら儀式は断念。ちょっとトラウマになるほどの衝撃だった。蕎麦はほどほど旨かっただけに、どうしてこうなったのか、聞いてみたい気がした。憧れの 裁ちそば、落胆した。





住所 ( 奥会津 奈良屋 )福島県南会津郡南会津町田島字田島柳6番地1
Site https://www.naraya-soba.com/





※ 連続3連投、乾麺エントリで、申し訳ない。






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*1:とはいいつつ限界はあるけれど。