蕎麦之記

辛汁で、を基本に。

山形手打ちそば 羽前屋

山形県山形手打ち蕎麦処・羽前屋【 閉店 】  山形市内 ]  

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photo from 食べログ [ 引用 ]

天ざる ( 税込 1,300円 )





香り ☆☆☆
太さ ★★☆
出汁 濃い目
辛汁の量 適量
蕎麦湯 茹で汁



薬味・小鉢など 漬物、ネギ、ワサビ



粉の産地 不明、北海道産主体?
製粉 不明、店頭に粉サンプル展示
割合 不明
製麺 不明、一部手打ち?





蕎麦粉 一番粉 5、二番粉 3、三番粉 2 の割合で打たれた中太麺。 香りは微か、コシ・弾力はしっかり。辛汁 とのバランスも良く、箸が良く進む。しかし残念ながら、それ以外のことを覚えていない。【 ここが蕎麦の食べ方の分かれ道 】 というべき 事件 がこの時起こったからである。





時は ある暑い夏の 平日 14時少し前。仕事で同僚幾人かと山形に来ていた。空腹の絶頂に、ガッツリボリュームのある、腹持ちするものをたっぷり入れたかった。自ら蕎麦を打つという自称蕎麦通が同店へと案内した。当時はスマホなぞないもんだから、ちょっと迷いつつ到着したはず。店に入る前から 「 これは、天ざる しかない 」 と決めていた。で、迷わずオーダー、すると…。





衝撃の言葉が放たれた大事件が勃発

その、蕎麦通の先輩同僚が放った、蕎麦の食べ方を巡る破壊弾とは. . .。









「 オレ、つゆを油で汚したくないから、初めての店で、天ざるは頼まないんだよね〜ッ!」





山形の夏の半端ない暑さにやられ、塩なんて言わず、冷たい天つゆに揚げたての天ぷらをザブンと潜らせてバクッと豪快に食べたかっただけなのに。 万が一にも専用の天つゆが付いて来なくたっていい、冷やしたぬき なんか、つゆと油と蕎麦を一緒に食べるんだし。そう思っていた。だが、そのひと言にもの凄い衝撃を受けてしまった。





以来、辛汁は油で " 汚せ " ていない。 *1  *2





茶  不明


他メニュー一例 羽前もり 800円、かしわざる 900円( ←いずれも看板商品とか。 )、
もりそば(板) 600円、とろろそば 900円、カレーそば 900円、
中華そば 600円、しっぽこ (10〜3月) 1,000円


価格帯 600〜1,500円





蕎麦処・山形の老舗 のひとつ。大通り沿いではなく、町と町を線路で隔てた境目に近い場所に立地している。 外観は普通の和風店舗だと思っていたが、今、様々な画像を見るとビルで、1F を和風外装にしていたようだ。内部は 3面ガラス張りで、自然光が気持ちいい。店内の清潔感にも、老舗の仕事観が現れているようだった。





photo from 食べログ [ 引用 ]





立地 住宅・商業混在地域 *3
店内外 自社ビル( 自宅兼? )和風の内外装
卓上 一味、七味、割箸
座席数 50席ぐらい?( 結構あった感 )
サービス 昭和の食堂風( 当時 )
BGM なし? USEN





羽前・羽後って、何のことか、知ってる?

ちなみに、「 羽前 」は、出羽国 の南側で、最上川以北の酒田を含まない 山形 のこと。「 羽後 」は、最上川以北の酒田を含む 秋田 のこと。 酒田 と言うと、" 山形とは一線画すよ? " みたいな気風があるが、それはこの辺に端を発しているのかもしれないな。*4





「 しっぽこ 」とは?

それから、「 しっぽこ 」 が気になったので調べてみた。 しっぽこ とか すっぽこ とか呼ばれているようだが、「 すっぽこ 」だと隣県・宮城の郷土料理「 おくずかけ 」の 県北版の呼び名と同じだ。 *5 *6  おくずかけは、椎茸の戻し汁を出汁としてゴボウ・ニンジン・大根などの野菜を煮る精進料理で、盆や彼岸に食卓に上る。 そういえば、椎茸の戻し汁の出汁で作ったあんかけ( 生姜の絞り汁入 )で 餅を食べる文化が、伊達藩領内にあったな。

そうだ、餅喰い で有名な 一関 でも、定番だ。

山形・最上家 と 伊達家 は親戚、「 しっぽこ 」の具に 、薬味におろし生姜が付いている辺りにもなんだか、芋煮 に似た縁を感じるというものだ。





同店以外で「 しっぽこ 」が味わえる山形の店は、以下の残り 4店のみ。



※ その他 資料
〈 山形の独自の冬の味、そば屋の「 すっぽこ 」とは? 〉
〈 山形経済新聞瓦版_山形の謎の食べ物「 すっぼこ 」. . .〉





photo from 食べログ [ 引用 ]





創業 1916年 ( 大正5年 )
廃業 2019年3月31日





住所 山形県山形市旅篭町1丁目18-11
Site 羽前屋ホームページ





※訪問は1990~2010年頃、他情報は初回投稿時点で補足。

〈 山形経済新聞_「 羽前屋閉店へ 」の 記事 〉









***















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*1:つまり、天つゆや塩が別に付けられる蕎麦店であることが確認できたら油ものの一品を頂く事がある。

*2:今はネットやらなんやらで比較的簡単に事前情報も取得出来るしね。

*3:近くに線路があったような. . . 。だから踏切まで回り道をしていかなければならず、迷ったような. . . 。

*4:ウチの母が若い頃、秋田に転勤になった父について行った時に、羽後銀行 の看板を見て「 はごぎんこう? 」と言ったという当家のお笑い伝説のひとつが残っている。 ちなみに、羽後銀行は、今の北都銀行の、前身。

*5:私の故郷のまつりでいつも、すっぽこ汁 が定例で振舞われていたのを良く覚えている。

*6:県北というほどの地域でもないんだけどね。